エッセイ
essay
秋シーズン
暑かった今年の夏も終わりを告げ、いよいよ今年も残すところ3ヶ月弱となりました。ダンスの世界も秋冬シーズンを迎えます。今シーズンのメインになる大会としては9月中旬のJCFギャラクシーからはじまり、10月初旬のJBDF全日本10ダンス選手権、下旬のJBDF選手権/アマチュア全日本選手権、そして11月初旬のJNCPD統一全日本選手権と続きます。
そして海外では英国3大大会のひとつインターナショナル選手権が10月中旬にロンドンで開催され、今年も日本からも多くのエントリーがあるようです。 更に11月中旬のオランダのダッチオープンフェスティバル、12月初旬フランスでのディズニーカップなど秋から冬にかけて世界的にも大きな大会が目白押しです。
10月下旬には今年度の世界ボールルームダンス選手権がお隣、韓国ソウルで開催されます。日本からは庄司浩太・名美組と橋本 剛・恩田恵子組が出場することに決まっています。是非日本の代表として逞しい精神力をもって世界に挑戦してほしいと思います。
世界クラスの大会のファイナルから日本の名前が消えて久しいのですが、私は今の日本選手の平均レベルが下がっているとは考えていません。ではなく、世界が「本当のもの」と認めるダンス、そしてそのレベルを越えている選手が少ないことが問題だと思います。その「壁」を超える手前で皆が同じうようなダンスをし、答えを見いだせないまま右往左往しているように見えるのです。
ボールルームダンスにしろラテンダンスにしろ、ダンスは男と女というカップルが音とリズムをリード&フォローの仕組みのなかでムーブメントという芸術的空間に昇華させていくものです。そしてそのためには「音楽的理解」がまずありき。そして美しいポスチャーやすばらしいフットワーク、正確なポジションや有効なホールドなどのテクニック、更にはフットプレッシャー、ボディーセンターなど肉体的なエネルギーを大いに費やす必要があるのは言うまでもないことです。音に反応もせず、お手軽な、小器用なダンスでは人の感動を呼び起こすことは不可能なのです。
勝負の世界では芸術的な側面を追うよりも肉体的な側面が前面に出る方がジャッジからマークがもらいやすいのは事実ですが、私たちが求めているダンスとは「肉体的なメリットに頼ったダンス」ではなく、「音楽的理解を背景に肉体的メリットをもったダンス」なのです。
音楽のために欲求が芽生え、ウェイトが働き、センターが強くなり、フットプレッシャーがフットワークに形を変え、これらが共に踊るパートナーに対して、そしてそれが最終的にはお互いに対して働き、アームやボディーなどのコンタクト、呼吸やアイコンタクトなどが更にカップルの一体感を増して行くチャンスになります。
この一体感をもって踊れる能力を持つと同時に、例えば2小節を最小単位に踊ることやアクセントのあるタイミングなどの基本的理解に加え、音楽の特徴、スタッカートやスラー、クレシェンドやデクレシェンド、ハーフビートやクウォータービートなどの理解がリード&フォローの質を大いに高めるためには絶対に必要です。これらの理解のもとにしたダンスをすることができれば、一体感のあるダンスはさらに奥の深いダンスへとレベルアップすることは間違いありません。
このレベルに達していくとダンサーは見た目にもすばらしいボディーに鍛えられていくでしょうし、カリスマの要素を持ち始めるに違いありません。それはどのクラスであろうとすばらしいチャンスが巡ってくることは想像に難くありません。
日頃の練習で自身の「肉体的メリット」を高めていくことは当たり前のこととして、是非普段からリズムやアクセント、抑揚なども含めて音楽に対してもっと敏感になる習慣をつけることを大いに薦めます。競技に勝つことを目標にはするべきですが、結果だけに捉われるのではなく、普段から「本当のもの」へのこだわりをもつことが「壁」をこえる一番の近道だと私は信じているからです。
今年の上半期に活躍したカップルも、下半期での巻き返しを狙っているカップルも、この秋は今年の躍進ぶりを実際のダンスで形にしてみせるシーズンです。鍛えられたボディーとすばらしい音感をもって、 カップルの調和を大事にした、且つ、伸びやかで艶やか、美しく魅力に溢れたダンスをフロア上で大いに舞ってほしいものです。
皆さんの健闘を祈ります! Dance Well and Good Luck!
