essay
エッセイ
JBDF選手権、世界選手権、統一全日本選手権、そして2012年。。。
今年の秋シーズンはリズム感よろしく毎週のようにビッグコンペがどんどんとやってきました。9月末のギャラクシーマスターズ(JCF)に始まり,10月のJBDF10ダンス選手権、ロンドンでのインターナショナル選手権、JBDF東部日本選手権、JBDF選手権、世界ボールルームダンス選手権、そして統一全日本選手権という一連の競技会が主立ったものですが、まさに日本のトップダンサーたちは東奔西走の忙しさだったことでしょう。
もちろん所属組織の問題や日本代表という制限故にすべての競技会に出場できるという訳にはいきませんが、ボールルームの世界では特に日本を代表する橋本 剛・恩田恵子組(JBDF)と庄司浩太・名美組(JCF)の2組、そしてラテンでの織田慶治・渡辺理子組にはビッグタイトルの連続で、日本の看板を背負って良く健闘してくれたと思います。その他のトップに名を連ねる選手諸君もお疲れさまでした。すばらしいバトルを繰り広げ、大いにダンス界を盛り上げてくれましたことを大いに評価したいと思います。
今年度のメインの競技会は終わりを告げていますが、第一線で活躍する競技選手にとってはすでに来季は始まっています。この時期にすでに来季のプランはすでに出来上がっているのです。 彼らはすでに数年先を読み、1年半先のレッスン予約をしている例も珍しくありません。海外の年間スケジュールも多少の前後はあっても5年先の日程は常に先行して公表されているのですから、それらの大会にむけてレベルアップを図る意志のあるカップルは少なくとも1年先のプランは把握済みなのです。
例えば来年の国内の各地位域の競技会日程がこの時期に明確に出てはいませんが、全国区の大会や世界的なレベルでの大会日程はずいぶん前に公表されています。世界的にはUK、ブラックプール、インターナショナルを中心に、アジアンオープン&ツアー、日本インターナショナル、ギャラクシーマスターズ、そしてたとえばJBDFのビッグタイトルで言えばスーパージャパンカップ、JBDF選手権、JNCPDの統一全日本選手権などはすでに日程も会場も決まっています。
今から日本を背負ってたっていく気概のある選手諸君には、是非今後のきっちりとしたプランを立てて、「追いつけ追い越せ!」、近未来の目標とその実現のための作戦もこの時期から積極的に考えて行ってほしいと思います。欲しいと望まなければ絶対に手に入れることは出来ないのですから!
今年の総括をするにはまだ少々早いのですが、この秋シーズンの競技会での選手のダンスを見ていると何となく以前とは違う雰囲気を感じるようになってきました。世界のレベルで見れば確かに世界のファイナル、セミファイナルに当然のように安定して進出するカップルの存在はありませんが、少しづつですが明るい材料が見えて来ているように感じます。
具体的に何がそう思わせているのかを文字にすることはできませんが、選手たちの将来に向かって行くべき共通の方向性がダンスのスタイルを良い方向に変えて行き始めていると私は感じます。その要因には長年に渡る組織の分裂状態に辟易した感情もあるでしょうし、不幸にも起きてしまった3.11の大震災が大きく影響してるのではないかと思われます。
「Dance & Prey」
この復興を願う気持ちの強さは競技ダンスに専念できるダンサーたちが今なお生活に苦しむ現地の方々を思い、ダンスが前向きに生きる心の糧となることをこころから願ってのことなのです。ダンス界での政治的な軋轢を遥かに超えた感情が選手を奮い立たせる機会になったのは事実でしょう。
たとえそれが悲しみの感情、どうしうようもない感情、ダンスが出来た喜びの感情などであっても、人間が「生きる」取り組みに差し迫ったときに大きなエネルギーとして大きな舵取りをするきっかけになるのだと思います。
誰が勝った負けたという単純な結果より、今を生きるダンス人の将来に向かう謙虚で真摯な姿勢が日本人の美学と相まって大きな力になり、皆が共感し突き進んで行ける方向性を見いだすことが遥かに大事なのです。
だからこそ、選手は来年以降のスケジュールをきちんと把握し、自身の成功へのプランを立て、それを実行に移す環境を整えて行くべきなのです。まさしく「Dance&Prey」。ダンスに祈りを込めて世に明るさと希望を与える宿命を担ってほしい。それがダンスを愛する者,ダンス界全体の願いではないでしょうか。
来月に迫った2012年。すばらしい年であることを期待しつつ、皆の努力により最高のダンス人生を謳歌できる環境作りが求められています!
International Championships
英国3大大会のひとつ「インターナショナル選手権」が、10月12日から14日までの3日間、華々しく開催されました。第59回を迎えた今年の選手権も、例年通り、初日・2日目はロンドン郊外・北東部のBrentwoodのInternational Hallで、そして最終日の本選はロンドン中心部、ハイドパークの南側に面した由緒あるRoyal Albert Hallでの開催。特に最終日は、当日のチケット入手が困難なほどとても多くの観衆で埋め尽くされました。
今回、ボールルームでは、常勝アルナス&カチューシャ組(USA)にミルコ&エディータ組(イタリア)がいかに挑むか? 今年の全英アマボールルームの優勝を機にターンプロしたアンドレア・ギジャレリ&サラ組(イタリア)がどこにランクインしてくるか? ラテンでは、マイケル&ジョアンナ組(ポーランド)VS.リカルド&ユリア組(USA)の一騎打ちに加え、フランコ組の解消により一つ空いたファイナルの席を誰がものにするか? などが注目のポイントとなりました。
ボールルームでは、会場の応援を背にミルコ組が持ち味を生かしたストロングなダンスで猛烈にアピールも、チャンピオン、アルナス組のエレガントで伸びやかなダンスの前にはハーモニーの堅さが目立ち、今回もチャンピオンの後塵を拝することに。注目のアンドレア組は、運動能力に長けたストロングなダンサーで、非常に音楽的にも伸びがあり、プロのトップが競う今大会で見事第4位に入賞です。
また全英で6位に入賞したバレリオ・コラントーニ&ユリア組(ロシア)ですが、今回も6位に入賞。しかし長身を活かした大きく美しいトップラインに加え、非常にパワフルでナチュラルなダンスは、今後の台風の目となることは間違いありません。種目によっては、すでにトップ2に肉薄していると見るのは私だけではないでしょう。
ラテンでは、世界チャンピオンのリカルド組が、リズミカルで切れ味鋭いダンスのレベルを相当アップしていました。しかし、彼らより全英覇者のマイケル組の方が、今回も一枚上の感じ。全英の時の素晴らしいダンスがさらに磨かれ、王者として貫禄の優勝を飾りました。
そして、ハイレベルなラテンファイナルに新たに食い込んだのが、マウリツィオ・ベスコーヴォ&アンドラ組(カナダ)。現在、アンドレ・スクフカ(スロベニア)のパートナーとして活躍(今大会第4位)のメリンダが、アマチュア時代の彼のパートナーで、アマチャンピオン経験者です。今回、並みいるセミファイナルの強敵を制し、全英に続きファイナル進出。しかもイタリアのステファノ・ディ・フィリッポ&オルガ組の上、第5位にランクアップです。小柄なダンサーとして非常に大切なストロングなボディと躍動感に溢れ、パートナーのレベルアップ次第では更に上が狙えるカップルです。
アマチュアの部では、アンドレア組のターンプロにより、全英準優勝のエマニュエル・ヴァレリ&タニア(デンマーク)が、大声援を受けて見事念願のインターナショナル初制覇。ファイナルで魅せたあのクイックステップは、新チャンピオンに挑戦するに十分値する、見事なダンスでした。
ラテンでは、全英準優勝のニール・ジョーンズ&エカテリーナ組(イギリス)が同じく初優勝を飾りました。最近最もインプルーブしているカップルで、地元英国から出た本当にしばらくぶりのチャンピオン。オナーダンスのジャイブでも若さに一級品の技が光り、パートナーとのハーモニーも完璧でした。
一方、ニッポン。 ライジングスター部門でもたつき、ボールルームでセミファイナルが1組(橋本剛組)、ラテンでは予選ですべて姿を消すという惨憺たる状態です。本選の予選通過カップルもボールルーム6組、ラテン1組。最終日の本選で2次予選(準々決勝)に進めたのが、ボールルームの庄司浩太・名美組のみという状態です。
世界に伍して戦う勇気を持たずして世界の場に出るなら、例えば勢いに乗って世界に挑戦する中国や韓国カップルなどの熱心さと優秀さの「引き立て役」になってしまいます。個人の努力だけで世界に挑戦する環境であるのは昔も今も変わりはありません。プロアマ問わず、海外に出て行く意志のある選手には、"世界に挑戦する"という厳しい覚悟をもって取り組んでもらいたいのです。
ジュブナイル、14歳以下などの子供たちのクラスで、日本のカップルが音楽と身体を一杯に使い、フロア狭しと踊り切り、堂々とファイナル入りしているのが唯一の救いですが、そうしたクラスでさえ、すでに中国のカップルが上位を占める環境なのです。
今再び、「根性」や「ハングリー精神」が問われなければならない時代なのかもしれません。
統一ショーダンス選手権/成績の訂正がありました
統一ショーダンス選手権のボールルーム部門での結果集計にミスがあったことが判明したとのことです。
訂正後の成績は以下のようになります。
*ボールルームダンス部門
1位.岡田大輔・菱田純子組JBDF
2位.末富崇仁・藤本尚子組JBDF
3位.日高梓・相馬真知子組JDC
4位.藤原全史・増田恵実組JCF
5位.大村隼・大村素子組JCF
6位.樋浦宏幸・樋浦久子組JDC
当日の表彰式で優勝を飾った末富祟仁・尚子組には非常に残念な結果となってしまいました。
当日の訂正ならまだしも,1週間も日が経過しての1位、2位の順位の逆転は両者ともに非常に後味の悪いものです。
大会主催者にはこのようなミスを犯すことのないよう万全の採点管理システムを構築してもらいたいものです。
*ラテンアメリカン部門
1位.金光進陪・吉田奈津子組JBDF
2位.立石勝也・立石裕美組JBDF
3位.中村隆裕・山田貴子組JBDF
4位.澤田和之・清岡千明組JCF
5位.大塚出・安齋沙織組JCF
6位.簗田敦・簗田さおり組JDC
