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【ダンスビュウ4月号DVDの見どころ】

今月の講師は統一全日本ファイナリストの小林恒路・赤沼美帆組です。

実は本誌発売の翌日、ある読者の方から編集部に電話をいただき、「楽しみにして買ったのに、なにを言いたいのかわからない」という付録DVDに関する苦言をいただきました。
付録の場合、色々なキャリアの方がご覧になるので、レッスンの意図がどう伝わるか、どのように解釈されるか、講師の先生や企画者にも予測できない部分があります。
のっけから、ネガディブな話をしたのは、この方の感想がある意味正直にこのDVDの本質を語っているように思ったからです。

一般的なDVDレッスンというのは、

①技術として「正しい・正しくない」、
②外見として「美しい・美しくない(=カッコ悪い)」

という、2つの物差しに則って解説が進みます。理論的な解説もあれば、イメージ(比喩)を使ったものもありますが、踊りの判定基準は、ほぼこの2つに集約されます。
ところが、今回の小林組のDVDはこの2つの物差しを使っていない。
その踊り「気持ち良いか、気持ち悪いか(良くないか)」という、快・不快の感情を第3の物差しとして使っているのです。

技術から派生して「踊りやすいか、踊りにくい」という話は当然ありますが、「気持ち良い、悪い、楽しい、苦しい」なんてことを、白昼堂々と言っている先生は本誌付録史上でも大変珍しいことなのです(小林先生、ごめんなさい)。
もちろん、快・不快はダンスの(身体世界の)ベースになっている根源的な感覚ですが、あまりにも個人的(実際に踊っているカップルにしか感じ得ないもの)であるがゆえに、万人向けに作るDVDのテーマとして、まず俎上にのぼることがなかったのです。
なので、「正しい・正しくない」「美しい・美しくない」の枠でダンスを判断してきた方、あるいはステップのマニュアルとして、便宜的な処方箋に慣れた方は、このレッスンに戸惑い「なにを言いたいのかわからない」となったのかもしません。

「美しきフリースタイルを求めて」という、ファジーなタイトルにしましたが、今回のレッスンは自分の体重移動を感じること、相手の体重移動を感じることをテーマとしています。既存のテクニックに縛られず、重力や相手の移動を感知して動いてゆく、その自由な感覚への憧れがこのタイトルの由来になっています。
しかし、その背景にある本音は、美への希求というより、激しい競技を戦っているときの実感です。ファイナリストとなれば、予選から決勝まで6ラウンド、7ラウンドを同じ力で踊り抜かなければならない。いかに疲労を防ぐか、無駄な体力を使わないがが、勝敗の大きなポイントになってきます。巷で正しいとされているコンタクトで、綺麗に形を整えても、決勝の前でバテてしまっては意味がないわけです。
そこでスタンダードダンスで、金科玉条のごとく思われている「コンタクト」(密着して踊る)の概念を捨て、自分のいる空間と、相手のいる空間(肉体ではありません)を、同期させて動く方法を発見した。すると二人の“あうん”の呼吸のようなものが連鎖する。そういうダンスは疲れないし、楽しく踊れる。競技の結果もついてくる。
究極の状況で生み出された方法は、一般のダンスでも活用できるヒントに満ちていたのです。

DVDの中で印象的なシーンがあります。
コンパクトホールドで、ブルースのようにお互いの動きを同期させる小林組。目を瞑って小林先生のエスコートを聴きながら動く赤沼先生。二人を支配しているのは、テクニックではなく、皮膚感覚や体性感覚、空間を感じる感覚です。
この場面を見たとき、古い話ですが、映画『Shall we ダンス? 』で、役所広司演じる主人公と奥さんが家の庭で、おずおずと、ためらいながら、しかし全身の神経もって震えるように一歩一歩ブルースを踊るシーンが筆者の脳の中で蘇りました。

ダンスとはおそらく螺旋階段のようになっていて、修行者(アスリート)が、さらに上に行こうとしたとき、たぶん初心者の感覚に還る。もちろん位相は違いますが、初々しく全身の感覚を研ぎ澄まして一歩を踏み出すという点では、競技者は初心者とほとんど一緒なんじゃないかと直感しました。
正解というものはあるかどうかわかりませんが、10年20年たって、「ああ、あのときの先生の話はこういうことだったんだ」と合点がいくことが多々あります。

急いで正解を求めず、まず講師の踊りが醸し出す「気持ち良さ」を味わっていただければと思います。
(文・ダンスビュウ編集部DVD制作担当)

 

“【ダンスビュウ4月号DVDの見どころ】” への1件のコメント

  1. JDSF スタンダードC級です。 今回の小林先生のレッスンでダンスが楽になりました。パートナーは踊りにレクチャー
    の内容を取り入れたことを知りません。でもいいんです、楽に踊れるようになったから。楽しく踊れるようになったから。

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