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【ダンスビュウ7月号DVDの見どころ】

今月号は、本誌主催の講習会映像を2本収録しています。
メインは田中英和先生の「上達の秘訣・ワルツ&タンゴ編」。後半の特典映像は得地敏彰先生の「競技の心得」です。
田中英和先生のレッスンは2月号のスローフォックストロット講習会の続編で、「立っている脚を使ってもう一方の脚を動かす」という理論を、ワルツとタンゴのフィガーを通して解説しています

DVDに収録されている、講習会のテーマは本誌連載エッセイ「田中英和のワールドダンス」の「上達の秘訣」記述されていますので、DVDと併せて一読いただきいただければ、興味深いかもしれません。

と、簡単に書きましたが、田中先生のエッセイはご承知の通り、軽妙なダンス談義ではありません。田中先生の体験と哲学が濃い密度で朗々と語られているように思えます。
日本の師匠と英国の師匠から受け継いだダンスの心構えと技術。
ライバルとの切磋琢磨を通じ、挑戦し、格闘し、肉体化した技法。
コーチャーとして視る世界のダンスと日本のダンスの比較。
これらが混然一体となって展開される随筆(エッセイ)で、積み重ねられた時間と思念、日欧を往来し行動する稀有なダンス人の真情がつづられています。
(他のスポーツ分野でも、このほどのエッセイを筆者は読んだことはありません)

ただ、この随筆を半可通が分かることは、不可能でしょう。
またダンスのみならず、人の巡り合わせの不思議を体験する年齢に達していないと、今昔が往来する「ワールドダンス」の妙が、読み手の心に沁みることはないでしょう。
話が飛びましたが、エッセイが難解に感じられる方でも、DVDのレッスン映像を通じ、田中先生の英知の一部に触れられることは、愛好家冥利に尽きるんじゃないかなと、筆者は思います。

次に特典映像として収録した得地先生の「競技の心得」ですが、実は見本映像を見たとき、本当に付録化すべきかどうか迷いました。

というのは、この講習会の映像は現実と地続きの風景だからです。
通常レッスンDVDとは、最初に架空のテーマを作ります。
不特定対数の視聴者を想定し、実際に起こりうる無数のパターンを省略し、特定の技術だけを抽出した実験空間です。ぐちゃぐちゃした現実の個人レッスンと異なる虚の世界が、DVDが描くレッスン・テーマというものです。
そのテーマに複数のフィガーを紐付け、具体的なテクニック&アイディアとして提案します。DVDの作品性とは、この“虚構”にいかにリアリティを与えるかにかかっています。

リアリティが読者の無意識に刺されば、「面白い」という反応になります。あるいは「なんだか分からない」という反応を引きおこす場合もあります。
どのような反応であれ、それはレッスンの力によって揺さぶられたものです。
(これは雑誌の流通価値や市場性、俗に言う“売れる・売れない”という物差しと異なる次元の話です)

まわりくどい言い方をしましたが、技術の解説者と良い例・悪い例の実演者が同一人物で、一人芝居を演じるからこそ、物語(レッスンテーマ)が成立するのです。

ところが、得地先生の競技の心得には、通常のDVDが描く虚の部分がほとんどありません。目の前の生徒を指導する、現実のレッスン風景です。
講習会に参加されたメンバーの姿は、視聴者にとって等身大の自分の分身ではないでしょうか?
たとえば冒頭で得地先生は、競技の予選で落ちた男性について次のように語ります。
「男性は思い切って踊った。ところが女性は急に引っ張られた、という話をよく聞きます。上のラウンドに行こうとする。普段と違うことをやって暴れる。その結果いつもの力を発揮できない。だから予選で落ちるのです」と。
これは、おそらく競技会に出場経験のある、ほとんど全ての男性が体験していることでしょう。
1回のみならず、10回、100回、同じことを繰り返して、何度注意されても直ることはない。「俺の踊りどうだ」という見栄は、場数や慣れによる制御がもっとも効きがたい、競技者の病です(否定しているわけでなく、そういうふうになってしまう、ということです)。

言われなくても、分かっている、分かっているけどやってしまう…。だからこそ、技法でなくて「心得」というタイトルをつけましたが、得地先生が言わんとすることは「平常心で踊れ」という一言に尽きるでしょう。
講習会では、踊り崩れる原因を指摘するにとどまり、具体的な「平常心」についての対策には一言も触れてはいません。

3組の参加者がフロアで踊るシーンに注目してください。
6組の参加者を3組ずつ分け、一方の3組は競技選手・もう一方の3組は審査員という状況を作り、模擬試合を行なっています。
交互に踊り、交互に観察することで、人の踊りを観察して、わが身を振り返るきっかけを作っています。
フロアに出て踊る3組のカップルは、当然競技のつもりで踊っている…。一方見る側の3組は、ジャッジのつもりで、眼前の3組のダンスを見ながら、自分の踊りを振り返っているのかもしれない…。他人の踊りを、自分を振り返る鏡として利用する…。見方によっては、少し嫌味なシミュレーションをやっているわけです。

しかし、こんな意地悪な講習会をやる先生が、全然嫌味でないのが不思議です。
飄々とした表情。近くを見ながら遠くを見ているような視線。張りのある声とリズムのある運び方。サイドコーチをしながら、「ダメですっ! さっきは、もっとかっこ良かったですよ」という叱責が入ります。
この部分、まるで背後から和尚にポンと肩を打たれたように、響きませんか?

あなたに似た人が受けるレッスンは、あなたにとって、きっと役に立つはずです。
少しでも興味をもった方は、ご覧いただければ幸いです。

ダンスビュウ2018年7月号コンテンツ
http://www.danceview.co.jp/book/2018/07.html

タナカヒデカズダンスワールド
https://www.htanakadw.com/

得地ソシアルダンススクール
http://www.tokuchi-dance.jp/

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