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Breaking Boundaries ―境界線のないタンゴ[クィア・タンゴワークショップ in NY]2

NY在住のピアニスト・平沢絢子さんから「クィア・タンゴ」について寄稿をいただている3回連載の2回目です。1回目はこちらです。(編集部)

Liva Puce Photography

 

■ニューヨークでのクィア・タンゴコミュニティのはじまり

クラス開始から2ヶ月半、2週間後のクィア・タンゴフェスティバルでのパフォーマンスに向け、メンバーの練習にも熱がはいります。
様々なジェンダー、バックグラウンドの人々が、タンゴを踊りたいというひとつの目的で集まったこのクラス。
今回はニューヨークでクィア・タンゴコミュニティを築いてきたフィーリー・ラムさんと、彼女の心強いパートナー、ティム・エバンスさんにお話をうかがってみました。

Q:ニューヨークではかなり保守的なミロンガでも男性同士のカップル、女性同士のカップルを見かけます。リーダーとしてクラスを受ける女性、フォロワーとして受ける男性も見かけます。クィア・タンゴは受け入れられ、定着している様子ですが、コミュニティとしてはどのように始まったのでしょう?
A「きっかけは2015年の夏、ティムがベルリンのクィア・タンゴフェスティバルから帰ってきたときのことです。ベルリンでのイベントがLGBTQコミュニティにとってどれだけすばらしい体験であるか、なぜニューヨークにはクィア・タンゴのイベントや場所がないのかと話し合ったんです。それで、ないのなら作ってしまえ!ということになりました」

Q:この街はじめてのクィア・タンゴということで、コミュニティを築き上げていく上でトラブルなどはなかったんでしょうか?
A「なにせ二人ともはじめての経験ですから、どういうプロセスになるのか想像もつかなかったんです。だからなにかトラブルがあれば、その都度ひとつひとつ対処していくしかなかった。コミュニティを築き上げるというのは終わりのない、人生をかけた冒険みたいなものです。振り返れば、大きな課題の数々は外的要因ではなく、必ず私たちの内にあったような気がします」

Q:今回のパフォーマンスクラスのアイデアは、どうして思いついたんでしょうか?
A「パフォーマンスをすることでクィア・タンゴについてもっと知ってもらい、興味をもってもらえればと思ったんです。クィア・タンゴを広めること、もしくはタンゴをLGBTQコミュニティに知ってもらうことは私たちのミッションだと思っています。もうひとつは、タンゴについてのステレオタイプ、スーツを着た男性が女性を腕に抱いているといった像、これに挑むことで、ある種の境界線を破ってみたかったんです」

Q:今回はLGBTQはもちろん、そうでない方も、若い方も年配の方も、ダンスの経験がある方 もない方も同じ舞台でのパフォーマンスになります。
A「女性のリーダーや、男性のフォロワーを 見た人々が、同じようにその境界線をなくしてくれるといいですね!」

Q:次のゴールは何でしょう?
A「タンゴが個人の、ついては社会の変化のきっかけになれば……その変化への道具としてクィア・タンゴを使えないかと思っています。そこに焦点をあてたイベントを立ち上げたいです。そしてタンゴの動きや、アルゼンチンタンゴ独特のインプロバイゼーション(即興)の研究、実験ができる場を提供していきたいと思っています」

ベルリンのクィア・タンゴフェスティバルから戻ってきたウォルター先生も加え、いよいよ振り付けの練習が始まりました。まずはお二人のデモンストレーションを見て振りを覚えます。(Liva Puce Photography )

ウォルター・ペレス先生とレオナルド・サルデッラ先生。 デモンストレーションのときも真剣な表情!

週1度のクラス以外にも、スタジオを借りたリハーサルの日があります。スタジオのレンタル代はニューヨーク市から出される助成金でカバー。なんと衣装代も補助されます!

ハークエンさん(左)とトレーシーさん(右)。ハークエンさんは長くフィギュアスケートをやっていたため、身体能力抜群! さすがポーズも決まっています。 トレーシーさんはフルートも演奏され、いろいろなことに挑戦される多才な方。ニューヨークでは生涯現役です!

エドガーさん(左)とロリさん(右)。エドガーさんは銀行員。同僚からすすめられてタンゴをはじめたそうです。 ロリさんはずっとウォルター&レオ先生のクラスを受けていて、今回はパフォーマンスをしたくて参加!二人ともタンゴ歴は長く、最後の決めポーズも様になります!

ラッセルさん(左)とレスリーさん(右)。二人ともニューヨークのクィア・タンゴコミュニティのメンバーとして、様々なイベントのサポートをしてくださっています。彼らのようなメンバーたちのおかげで誰でも受け入れるフレンドリーでアットホームなコミュニティに育ったのです。

ティム・エバンスさん(左)とフィーリー・ラムさん(右)タンゴを心から愛するお二人。今回のBreaking Boundaries のクラスはニューヨーク市から助成金が出ているため、3カ月のコースにしては格安の料金で受けることができます。若い方が多いのもうなずけます。実はこれすべてフィーリーさんが助成金を市に申請してくれたおかげなのです。

鏡を見てポーズをチェック。 今回はクィア・タンゴフェスティバルの一貫として、ニューヨークで最も人気のミロンガ、All Night Milongaでもパフォーマンスすることになりました!これは広くタンゴコミュニティにアピールすることになりますね。

レッスン後、ミーティングの時間。パートナーは誰にするのか、リハーサルには参加できるか、衣装はどうするのか、といったことを話あいます。自分の意見はしっかり述べるのがニューヨークスタイル!(Liva Puce Photography )

 

【次回予告】
次回はついにパフォーマンス本番! そしてニューヨーク、クィアタンゴフェスティバルの様子をお届けします。

【筆者プロフィール】
平沢絢子(ひらさわあやこ)
大阪出身。現在ニューヨークでピアニストとして活動し、おもにバレエピアニストとして様々なスタジオ、バレエ学校で活躍している。ニューヨークに来てからアルゼンチンタンゴをはじめ、ある日ウォルター・ペレス、レオナルド・サルデッラのパフォーマンスを見てクィア・タンゴに出会う。女性でもリードができ、曲の途中で役割を交代できることに魅力を感じ、クィア・タンゴのイベントに参加。本人はストレートだが関係なく受け入れてくれたコミュニティのあたたかい雰囲気に感動し、ジェンダーに関係なくアルゼンチンタンゴを愛する人すべてにクィア・タンゴを知ってほしいと思っている。

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