「東北ダンスフェスティバル2025」企画・演出 那須良太先生にインタビュー [東北TOPICS]
レポート*今野なつ
(プロダンサー・ライター)
今年で4回目の開催となった「東北ダンスフェスティバル2025」。社交ダンス部門では、那須良太先生(NAS DANCE DESIGN経営指導)の企画・演出により、毎年新たな挑戦が続けられています。今回は宮城県プロ選手会との連携により、内容はさらにスケールアップ。華やかなステージに始まり、会場を移しての体験会、斬新な試みとして注目を集めたエキシビションコンペへと展開。フィナーレでは、出演者が観客へ「宮城県社交ダンス教室マップ」を手渡し、ダンスの輪を地域へ広げる試みにも力が注がれました(前号32頁参照)。
今回はこのイベントを通して伝えたかった思い、その裏側について、那須良太先生にお話を伺います。
Q. 今回の社交ダンス部門は、“社交ダンスの多様性を街に開く”というテーマでしたが、このテーマを設定した背景を教えてください。
A. 東北ダンスフェスティバルに4回参加して、社交ダンスの懐の深さを感じたというのがあります。他ジャンルは割と「このジャンルはこの音楽」「様式はこう」と決まっているんですよ。社交ダンスにももちろんそれはあるけれど、実は音楽もやり方も結構自由にできる、そんなところを見せたかったんです。
Q. 演出面では、体験会からエキシビションコンペ、そしてフィナーレまでが自然につながっていた印象でした。演目の順番にはどんな工夫がありましたか?
A. これは自分が企画演出するイベント、パーティすべてに共通していますが、「このタイミングでこの曲をかけたら」「この演目の次にこの演目が来たら」、お客さんや出演者がどんな気持ちになるか、盛り上がりの波がうまくつながるか、などすべてシミュレーションしました。結果がいいことも思った通りにいかないこともありますが、大事にしている作業です。そして今、目の前で素晴らしいパフォーマンスをしてくれたダンサーから直接、社交ダンスへのお誘い(ダンスマップ配布)をされたら影響も大きいかなと思い、最後に組み込みました。
Q. 今回の体験会では、一般の方が笑顔でステップを踏む印象的な場面がありました。体験会に込めた想いや狙いがあれば教えてください。
A. ここはもう、「とにかく楽しいからやってみて!」のマインドを自分が楽しむことで周りに漏れ出させることです!お漏らしです!結果、会場の外の人にも笑顔が広がったのは、今回の最大の喜びだったかもしれません。
Q. エキシビションコンペでは、1on1バトルや女子ソロ・ダブルス対決など、社交ダンスではあまり見ない形式が登場しました。これらのセクションを取り入れた理由は?
A. 今回は宮城県プロフェッショナル選手会に全面協力してもらったので、その魅力的なタレントをいかにお客様に届けられるか?ショーとして楽しんでもらえるか?そして社交ダンスは男女ペアだけじゃなくてもできるという可能性を見せたいと思いました。
Q. 今回の取り組みを通して、社交ダンスの可能性について新たに感じたことがあれば教えてください。
A. 男女ペアをはじめ、すべての演目、すべてのダンサーが最高のパフォーマンスを見せてくれましたが、1on1バトルに関しては全くの未知数だったところが、あの盛り上がり!本気で公式競技会に採用してもいいんじゃないかと(笑)。企画を見ていたストリートダンサーから来年の対決を打診されたので、まだまだ広がっていきそうな予感です。
Q. 最後に、今後チャレンジしてみたいことがあれば教えてください。
A. あらゆるダンスへのリスペクトは持ちつつ、社交ダンスにしかできない可能性を具現化したいです。今後の展望としては、社会貢献という方向性から、実はいま健康保険適用で社交ダンスレッスンが受けられる準備を進めているところです!