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田中英和先生のワールドダンス

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LINE OF DANCE

右回転と左回転のフィガーを織り交ぜながらフロアを可憐に踊るスウィングダンスは、ボールルームダンスの「華」と言えます。ゆったりした3拍子で伸びやかに踊られるワルツ、エレガントなスローフォックストロット、軽快なリズムのクイックステップ、そして舞踏会を思わせる気品のあるウィンナーワルツ。これらのダンスは、フロアを左回りに踊るのがルールで、壁に沿って踊る動線のことを「LINE OF DANCE」、略して「LOD(エルオーディー)」と言います。このLODは単なる「方向線」という意味だけでなく、「流れ」という一種のエネルギーをも意味します。この流れに沿ってうまく乗っていくことがフロアクラフトの技にも繋がり、ダンスをより伸びやかで軽やか、さらに美しく魅力的なものにするのです。
「すべてのスウィングダンスはウィンナーワルツからの派生である」とは、かつてのグレートチャンピオン、ピーター・エグルトン先生の言葉です。歴史的にも19世紀は、ヨハンシュトラウス2世に代表されるウィンナーワルツの名曲が数多く作曲・演奏されており、ナポレオン戦争の終結のために開かれたウィーン会議(1814〜1815年)では、その会議の合間に開かれた舞踏会の主役がウィンナーワルツだったのです。
ウィンナーワルツはこのLODに沿って踊るもので、流れにうまく乗りつつ、右回転のナチュラルターンと左回転のリバースターンを楽しむものです。
少しウィンナーワルツのテクニックに触れておきましょう。LODに沿って回転しながら踊るウィンナーワルツは、右回転はアンダーターンという回転量を減らして踊り、逆に左回転はオーバーターンという回転量を多めに取りながら踊るものなのです。これによってフロアを左回りに、スムースに踊り抜けることができるのです。

円形のフロアとLOD

その昔、明治時代の「鹿鳴館」は、外国人貴賓の接待や上流階級の社交場として建設されたと文献にありますが、その舞踏場は円形であったと聞いたこともあります。ワルツのことを「円舞曲」と表記するように、円形のフロアの上を円を描くように右回転、左回転しながら踊ることを想像すると、自然とこのダンスのテクニックも理解できます。
私も現役時代に何度も踊ったことがありますが、大阪ミナミの宗右衛門町にあった「メトロダンスホール」はまさに円形の舞踏場で、大阪キタの「ダンスホールワールド」もステージの反対側の短い辺が半円になっていました。ダンスホールということだけでなく、歴史を踏まえたとも言える円形のフロアは、ボールルームダンスの雰囲気をとても豪華にしていました。
今の時代で円形の舞踏場はと言うと、ロンドンの「ロイヤルアルバートホール」が挙げられます。このホールは多目的なホールで、「プロム」という有名なクラシックコンサートや「シルクドソレイユ」などのサーカス、かつては大相撲も開催されたことがありますが、年に一度、英国の3大大会の一つ「インターナショナルダンス選手権大会」もこのホールで開催されています。今年の開催は10月13日。世界からトップダンサーが集まり、日本のチャンピオンクラスも大勢チャレンジします。
まん丸ではなく楕円形の会場で、非常に臨場感があり、その雰囲気と相まって素晴らしい特別な時間を楽しむことができます。15年ほど前からパネルのダンスフロアを敷くようになって、フロアの楕円イメージは薄れていますが、正直ここは、踊りこなすのが難しい会場です。
個人的な話ですが、私はこの円形フロアになかなか馴染めなかったことを告白しなければなりません。フロアが円ということは、LODがカーブしているということ。ウィンナーワルツはそのカーブした線に沿って踊るので、そう難しいとは思いませんでしたが、特にスローフォックストロットのフェザーステップ、リバースターン、スリーステップなどの中央斜めからLOD、そして壁斜めへとスウィングしていく時など、それこそカーブしているLODにうまく乗り切れないことがありました。毎日、毎日、四角形のスタジオや練習場で踊っているため、LODの設定を、壁に沿った「直線」と考えてしまうからです。LODに対して右45度が壁斜めで左45度が中央斜めと設定するのも、当然といえば当然なのです。しかし、生きたダンスというものは、その「流れのエネルギー」であるLODが直線的であるか、カーブをしているのか、漁師さんが「潮の流れ」を把握するように、ダンサーもフロアの「エネルギーの流れ」を即座に感じ取らなければならないのです。
どんなフロアでも踊りこなせるための練習方法として、私はこんな練習をしたことがあります。進む方向であるLODの「幅を3メートルに限定」して踊ることです。壁斜めに踊ろうと中央斜めに踊ろうとこの幅3メートル以内で踊る練習です。具体的にコーナーはどう回るか、狭いフロアではどうするかなどの具体例ではなく、ものの考え方として「3メートル幅」を意識することでLODの流れを体感できるようになるのです。
LODに沿って踊っていく、これがボールルームダンスの基本であり、他のスウィングダンスの発展の基礎となるほど重要な考え方なのです。

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プロフィール

  • 田中 英和

    生年月日:8月9日
    出身:広島県広島市出身
    経歴:1997年2月にアデール・プレストン選手とカップルを組み、5月の全英選手権で日本選手初の第3位表彰台に輝く。「ヒデ&アデール」の愛称で国内外の大会で活躍し、翌98年の全英選手権5位入賞を最後に現役を引退。以降、審査員、コーチャーとして後進の育成にあたっている。また、本誌でも、7年にわたって連載レッスン「ナチュラル・ダンシング」シリーズを執筆し、大好評を博した。
    田中英和ダンスワールド

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