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田中英和先生のワールドダンス

コラム&本誌企画

さらば2023年、そして本当のボールルームダンスに向かって

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年々、一年という時間が短くなっていることに驚愕させられる今日この頃ですが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。今年を振り返り、それぞれの10大ニュースを挙げればキリがないことと思います。新型コロナが第5類になって、ほぼほぼ日常が戻ってきた感があり、阪神タイガースの38年ぶりの日本一や将棋の藤井聡太氏の8冠達成、大谷翔平氏の1000億ドルを超えるドジャースへの移籍など、度肝を抜かれるようなニュースもあれば、世界では依然ウ
クライナとロシア、イスラエルとハマスの戦争など、世界情勢は全く持って不安定です。国内でも、ジャニーズ問題が連日報道されたり、今年の世相を表す漢字一文字は「税」なんだとか…。酷暑の夏を経験し、近い将来の不安を抱かせる1年でもありました。皆さんの10大ニュースが、良いニュースで埋め尽くされていることを願わずにはおれません。

さて、ダンス界でも今年はたくさんのドラマが生まれ、新旧交代を表すかのような流れを見ることができました。先月号の当コラムで、2023年11月3日の「統一全日本戦」で常勝チャンピオンの橋本 剛・恩田恵子組が引退したことをお知らせしましたが、同じ月の26日には「WDC世界10ダンス選手権」で八谷和樹・皆川 円組が3位入賞、表彰台へ登ったニュースが飛び込んできました。若き勢いで世界に認められた八谷組の急成長ぶりは目を見張るものがあります。大谷翔平氏の「二刀流」はダンス界で言えば「10ダンス」、八谷組もある意味「時代の申し子」的存在と言えるかもしれません。

この八谷組も日本のラテン部門のファイナリストで、チャンピオンの野村直人・山﨑かりん組を筆頭に竹内組、正谷組、鈴木佑哉組、瀬内組のファイナリストたちの素晴らしいバトルは、日本のラテンアメリカンのレベルを世界レベルに押し上げていくこと必至です。

ボールルーム部門も廣島悠仁・石渡ありさ組、福田組、小林組、金野組、樋口組のファイナリストたち、そして虎視眈々と上位を狙うセミファイナリストたちの戦いはさらにヒートアップしていくでしょう。その勢いは、再来年の10月に日本で開催される「WDC世界選手権」で、日本人ダンサーが力強くも可憐に舞うために絶対必要な環境なのです。

年明けの2024年1月16日から「UK選手権」が開催されます。初日の16日はライジング部門、17日がプロボールルーム/アマラテン、3日目の18日がプロラテン/アマボールルームと続きます。この大会に向けて、クリスマス明けには世界からトップダンサーたちが英国に集まってきます。年明け早々から英国のスタジオは熱気に包まれることでしょう。

日本からもこの大会に向けて多くの選手が渡英することでしょう。最近、選手が海外でトレーニングできる期間は、大きな大会出場を含めて2週間前後というパターンがほとんどです。であるなら、その短い期間にどれだけ集中して効率よく修正と吸収をしつつ、レベルアップさせられるか、カップルでよくよく話し合って最良の海外研修となるよう努めていただきたいと願います。

選手が多く集まるダンススタジオで開催される夜の練習会は、本番さながらのフルパワーで踊るダンサーたちでごった返します。私も現役時代は毎晩その練習会に参加し、自分が学んだこと、感じたことを、あのフルパワーで踊る環境の中で実践していったものです。そしてライバルたちや若い勢いのあるアマチュア選手の中で、もたもたしてはおれません。何年も何年も英国詣でを続け、いつしかあの練習会の流れを自ら生み出すまでに成長したとき、世界のファイナルで踊っている自分がそこにいたのです。

練習会は海外のストロングなダンサーたちの勢いに負けることなく、いかにすれば対等、いやそれ以上に戦えるかを体感、実践できる唯一の機会なのです。日本を離れダンスに没頭できる環境に身を置く選手たちにとっては、自身を鍛える絶好のチャンス。世界の勢いを体感しつつ、自身のすべきことを信じ、ヘトヘトになるほどに鍛えた後に残るものが、私たちが目指す「本当のボールルームダンスの姿」なのです。まずはUK選手権での日本人カップルの大
いなる健闘を祈りたいと思います。

さあ、来年の今頃、今年以上の明るいニュースでいっぱいになるよう前向きに取り組んでいきましょう。今年もお付き合いいただきありがとうございました。来年もよろしくお願い申し上げます。

(月刊ダンスビュウ2024年2月号掲載)

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プロフィール

  • 田中 英和

    生年月日:8月9日
    出身:広島県広島市出身
    経歴:1997年2月にアデール・プレストン選手とカップルを組み、5月の全英選手権で日本選手初の第3位表彰台に輝く。「ヒデ&アデール」の愛称で国内外の大会で活躍し、翌98年の全英選手権5位入賞を最後に現役を引退。以降、審査員、コーチャーとして後進の育成にあたっている。また、本誌でも、7年にわたって連載レッスン「ナチュラル・ダンシング」シリーズを執筆し、大好評を博した。
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