ドラマチックな結末~UK選手権~
最高に盛り上がった今年のUK選手権は、大会3日目のプロラテンで最高潮を迎えました。
2年前の夏、ショーの最中に怪我をして引退が囁かれていた前WDC/WDOラテンチャンピオンのトロールス・バーガーが、ダーシャ(フィリッポの元パートナー)と組んで競技に復活。怪我からの復帰初戦とは言え、チャンピオン経験者とファイナリストのカップルの存在感は、今大会のファイナル構成に新たな変化が起こり得ることは明らかで、会場は自ずとヒートアップ。ラウンドが進むにつれ、現チャンピオンのドーリン&マリーナ組、そしてチャンピオンを猛追するニノ&アンドラ組、さらにはそれを追うマッシモ&ローラ組、キリル&ヴァレリア組など、スーパースターたちの繰り出す完成度の高いダンスに興奮度は爆上がりです。
ファイナルが6組で競われることに変わりありませんが、今年からセミファイナルがなんと14組となったUK選手権。このトップ14組の顔ぶれを見ると、正直誰がファイナルに進んでも全く異論のないスーパークオリティーのダンサーたちばかり。実際、セミファイナルラウンドでのバトルにスタンディングオベーションが沸き起こるなど、今の世界レベルの高さを物語っていました。
トロールス組、さらにこのところ急成長したアンドレ&ニノ組の2組もセミファイナルの大激戦を抑え、スーパースター6組による「夢の競演」が繰り広げられました。
採点結果を見ると、優勝争いは非常な僅差で、甲乙つけ難い凄まじいバトルだったことが見て取れます。最終的にチャチャチャとサンバ、パソを制したニノ&アンドラ組が念願の初優勝を飾り、ルンバとジャイブで1位をマークしたドーリン組が準優勝。3位にはマッシモ組、4位キリル組、5位にトロールス組、6位がアンドレ組と続きました。
大会2日目のボールルームでも新たなパワーが炸裂。アマチャンピオンからターンプロした中国のマイケル・タン&アニー組が大躍進の第6位にランクインを果たしたのです。スタニスラフ&イリーナ組とドゥーサン&ヴァレリア組の優勝争い、スタス&ナターリア組とグレン&キャロリー組、イゴール&リカ組の3位争い、それに割って入ってきたマイケル組のファイナルは大いに盛り上がりました。
もちろん世界トップクラスによる14組セミファイナルも見応え十分。個人的にはマディス&リイス組がファイナリストに相応しいダンスをしていたように見ました。ファイナルでも4位のグレン組、5位のイゴール組が素晴らしかったのですが、実績のある上位3組のランキングに変化は見られませんでした。でも近い将来、ボールルーム部門でも劇的なドラマが見られるのではないか、そんな予感がしてなりません。
今大会の注目すべきポイントは、やはり中国勢の活躍です。アマラテンを制したタン&ボビー組、アマボールルームでも4位にランクアップしたハリー&アニャ組、そしてプロボールルームにはベスト24になんと5組、セミファイナルにもマイケル&アニー組、エリック&アナ組、フィリップ&ジョアン組の3組が勝ち進み、マイケル組がファイナル入りを果たしています。U-21やU-19などの若年層での競技でも、中国からのダンサーが大躍進を見せており、まだしばらくは勢いが衰えることはないと見ます。
一方の日本勢は、プロラテンで野村直人・山﨑かりん組がベスト24に勝ち進み、その存在を誇示してくれました。ボールルームでは福田裕一・エリザベスグレイ組と廣島悠仁・大西咲菜組がベスト49に進むも、ベスト24には一歩届かず。ライジングスター部門でもボールルームの若代 愼・辰巳友莉亜組、ラテンの鈴木佑哉・原田彩華組がセミファイナルに進むも、ファイナルを逸する結果となってしまいました。世界レベルが上がり続けているアマボールルームでも五月女光政・叡佳組が素晴らしいチャレンジを見せてくれましたが、セミファイナルの壁は厚くベスト24止まりでした。日本選手にはこの春シーズンで強化を図り、世界に通用するレベルアップを図って欲しいものです。
ビッグイベントで、現チャンピオンを打ち破っての戴冠は非常に稀なことで、それだけ新チャンピオンの実力と勢いが相当にあったという証明であろうと思います。プロラテンのニノ&アンドラ組は、グレートチャンピオンへの道を歩み始めたのは間違いなく、今後ますます目が離せなくなっていくでしょう。
2026年はニューパートナーシップの結成、ターンプロ、引退など、様々な環境の変化が見られる年になりそうです。それは新しいトレンドを生み出すきっかけにもなるでしょう。日本でも若手の活躍が顕著になり、ライバルとの切磋琢磨でさらなるレベルアップを図って欲しいと願います!
(月刊ダンスビュウ2026年4月号掲載)



