5月の英国・ブラックプール
桜の季節も終わり、風薫る素晴らしいシーズンを迎えました。青空の下でウォーキングなどすれば気分も爽快、どんどんと前向きな気分になっていきます。が、すでに気温30度を超え真夏日になった地域もあり、暑さ対策、熱中症対策が必須です。皆さん、春バテや初夏バテにならないようにお気をつけください。
ゴールデンウィーク(GW)が明ける頃には、海外でのレッスンやダンスキャンプ、競技会に向けて出国する日本人ダンサーの数が増えると思います。英国では5月早々の2日、3日には「Freedom to Dance2026」がロンドン市内中心部のインターコンチネンタルホテルで開催されます。その後にはブラックプールタワーで「The Open Worlds 2026 」が7日から12日にかけて開催されます。
Freedom to Danceとは元世界ボールルームチャンピオン、リチャード・グリーブOBE氏によって提唱され、組織や政治の縛りなく、ダンスを愛する全てのダンサーたちに開かれた自由でオープン、フェアな競技会として開催されます。今年は世界のダンサーたちによる投票でジャッジパネルが決定されたと聞きます。オーガナイザーにはリチャード・グリーブOBE氏の他、アン・グリーブ女史、ジョン・ウッド氏、アウグスト・スキアーボ氏が名を連ねています。
The Open Worlds は元世界ラテンファイナリストのポール・キリック氏の主催する競技会。この6日間に渡る大会期間中、各セクション毎にジャッジが全て入れ替わり、世界の著名な審査資格保持者が多数招かれます。日本からも20名にのぼる審査員が名を連ねており、日本人ダンサーもチャレンジしやすい競技会であると言えるでしょう。
そして、いよいよ17日からは2週間に及ぶ「Blackpool Dance Festival」(以下、フェスティバル)が始まります。フェスティバルは今年「100周年」を迎える記念大会として開催されます。100周年を祝うビッグイベントですから、特に後半の22日から29日までの1週間はお祭りムードで大熱戦が繰り広げられ、オーディエンスで埋め尽くされた客席は大歓声で大いに賑わうことでしょう。その大きな節目にぜひ参加をしようとプロ、アマ、シニアなど、様々なセクションで挑戦する日本人ダンサーが多いと聞いています。
ちなみにBlackpoolで開催されるこの2つのビッグイベントは、WDO vs.WDCといった、敵対するイベントとして開催されていると信じている方も多いようですが、そのような対立の構図はありません。特にThe Open Worldsはキリック氏による全く個人オーガナイズの競技会として開催されており、WDOの競技会ではないのです。
しかし、確かにThe Open Worldsを運営しているレジェンドたちがフェスティバルに参加していない現実もあり、そう言う意味では「2つのブラックプール」はなんとなく敵対関係にあるように感じるのも事実です。実際、過去のフェスティバルで輝かしい成績を残したレジェンドたちが、100周年を祝うフェスティバルに今年も参加しないと表明していることは非常に残念であり、今後、英国ダンス界の求心力が弱まっていくのではないかと危惧しています。
水面下でなんらかの軋轢があるのかもしれませんが、5月の英国は、今年前半のクライマックスを迎えるのは間違いありません。これらの大会に向けて、すでにレベルの高いダンサーたちが世界中から集まり、今まさに相当なレベルに到達しています。ジャッジパネルもすでに公表されており、大会に向けた選手の真剣度も日に日に高まっています。
日本人選手たちの多くは、ゴールデンウィーク明けに英国やイタリアへ行くことになるでしょう。そんな選手のためにアドバイス。すでに出来上がっている世界のトップクラスのダンスに圧倒されてしまうのは致し方ないとしても、キャンプや練習会でそのスピードやパワーに煽られてしまったり、その力の差に自信をなくしたり、自分のペースを見失うことのないように、短期の海外でのチャレンジであるからこそ、出国から帰国までの明確なプランを立てておくことが肝心です。
ダンスフロアは戦いの場です。格闘技並みの強靭なボディが求められる場合もあります。日本国内での競技会のようにスイスイと踊らせてはくれません。短期の海外研修でそんなレベルに到達することなどあり得ませんが、成功に向かってのプランを実行し、それを何年も繰り返すことです。信じるコーチャーに食らいつくことです!
フロアの流れを生み出すまでにならなければ、世界はあなたのダンスを認めてはくれません。がんばれ! ニッポン!!
(月刊ダンスビュウ2026年6月号掲載)



