今年もありがとうございました
2025年もいよいよ終わりです。今年の世相を表す一文字は「熊」でしたが、被害に遭われた方や関係者の方々にとってはなんとも複雑な気持ちを持たれたのではないでしょうか。私の個人的な感覚で言えば、今年の一字は、やはり「米」だと思います。米不足、米価格の高騰、備蓄米放出、お米券発行などなど、お米のことがニュースにならない日はなかった1年だったと思います。いずれにしても、高市新政権が始まったことにより、お米の問題だけでなくさまざまな事柄がクリアに、そしてこれまでの不安から一転、良い方向に舵を切るきっかけとなってほしいと思います。
日本のダンス界においても、今年は意味のある年であったと思います。10月に開催された「WDC世界選手権」の大成功がまさにその象徴で、日本のダンス界の新たな流れを生み出す素晴らしい機会になったのではないでしょうか。福田裕一・エリザベス グレイ組、野村直人・山﨑かりん組の世界選手権ファイナル入りは、日本ダンス界が長年の低迷から脱却した瞬間であり、この2組を筆頭に、若手の躍進とベテランの円熟の対決など、魅力あるダンスバトルは来年以降の日本のダンス界をさらに活性化させることでしょう。世界のダンスシーンで、日本のダンサーたちの活躍が数多く見られることを大いに期待したいものです。
世界のダンス界もまた新たな流れを生み出しているように思います。その一例として、この12月のクリスマス前の段階で、本場英国のロンドンの著名なダンススタジオでは、世界のトップクラスはすでに「自主トレ」を開始しています。クリスマス後の年末、そして年始早々、多くのダンサーはほぼ出来上がっている状態になっていることでしょう。そして年明けには「ダンスキャンプ」に突入し、本格的に競技会シーズンを迎えるのです。
12月の段階でのこのような動きは、パンデミックの前には見られなかった傾向で、ここ数年で選手の勝負にかける意識が相当に高まってきていることを意味するのではないでしょうか。確かにアマチュアもプロも世界トップクラスのレベルは相当に上がっており、しかも差がほとんどないほど拮抗しているのも事実。その現実を肌で感じ、意識が駆り立てられているのは疑いようのないことです。
最近のインスタやSNSで、ダンサーたちの練習動画を見る機会が増えています。単なる記録として投稿しているのではなく、それは明らかに自己PRであり、好調さを売り出す目的があります。そんな動画を投稿している段階から、選手たちのバトルは始まっているのです。
ここ2~3年の世界のダンスを見ていると、ダンスのスタイルもまた少しずつ変わってきているようです。パワフルでありつつもスタイリッシュでリズミカル、シャープでありつつもどこか優美な印象を受けるのです。フットワークの美しさへのアプローチも見直されてきているように感じます。女性のヘアメイクもより洗練されたものになっており、ドレスも「エレガントさを持った躍動美」を強調するものが好まれているようにも思います。これらのスタイルは来年のメジャー大会では更に顕著なものになり、競技会のフロアはそんな洗練されたダンサーたちで埋め尽くされることでしょう。
そして同時に、新旧交代の波がさらに大きなうねりとなって押し寄せている感じも受けています。それは若手ダンサーたちのレベル向上がかつてないほどに急ピッチになっており、競技において若きエネルギーは非常に魅力的であり、ベテランにとっては一番の脅威でもあるのです。そうなれば1月のUK選手権では、新たなスター選手がフロアを席巻し、大接戦の末に新チャンピオンの誕生といったシーンが見られるかもしれません。 そして5月には最大のダンスイベントである「ブラックプールダンスフェスティバル」が今年100周年を迎え、大々的に開催されます。その記念すべき大会に向け、世界のダンサーたちのボルテージが上がるのは当然のこと。1月のUK選手権から5月の全英選手権までの上半期、どのような展開が見られるのか、これまで以上に目を離すことができません。
日本選手の多くはお正月明けに海外への挑戦を始めると思いますが、その時点ですでに半月の遅れを取っており、海外のトップクラスはすでに戦闘体制が完了していることを肝に銘じておかなければなりません。ぼやぼやしていたらその渦に巻き込まれて溺れてしまうでしょう。今からでも気を引き締め、海外にチャレンジする準備をしていってほしいと願います。頑張れ! ニッポン!
さあ、読者の皆様。1年間ご愛読いただきありがとうございました。どうぞ、良いお年をお迎えください。
(月刊ダンスビュウ2026年2月号掲載)



