社交ダンス情報総合サイト Dance View ダンスビュウ

田中英和先生のワールドダンス

コラム&本誌企画

アジアオープン

Xで共有する
Facebookで共有する

2月21日(日)、日本武道館において今年度のプロ世界ランキングを決定するワールドスーパーシリーズの一つである「アジアオープン」が開催されました。近年勢いの止まらない中国勢やじわじわと世界に通用するレベルに上げつつある韓国、台湾などアジア各国から、そして英国をはじめ欧米の世界のトップダンサーたちが勢ぞろい。

そして今年は、WDCの新メンバーボディとなったNDCJ(National Dance Council for Japan)が主催することになり、JDC以外の団体に所属する選手も積極的に参加することができるようになり、昨年のバルカーカップ統一全日本の覇者であるボールルームチャンピオンの橋本剛・恩田恵子組、ラテンチャンピオンの金光進陪・吉田奈津子組をはじめとする日本のトップクラスも多数出場しました。白熱したハイレベルなバトルにオーディエンスも大興奮、観客にアピールする各選手に大声援を送っていました。

ラテン部門では、世界チャンピオンのリカルド&ユリアのスーパースターが猛烈な勢いと存在感でフロアを支配するや、彼らに負けじとマウリッツィオ&アンドラも、そしてステファノ&ダーシャもフルパワーで彼らを猛追。準々決勝、準決勝と進むにつれて、世界のトップクラスは確実に予選段階とはギアチェンジをしたかのようなパワーを発揮。それでも彼らのコネクションの正確さは冴え渡り、その研ぎ澄まされたフットワークからくるダンス芸術はまさに圧巻。芸術レベルでの競技ですから、審査員もその見極めは非常に難しい作業であるに違いありません。また、今大会ではセミファイナルの大激戦。見事ファイナルに名乗りを上げたエフゲニ&ポリーナ(ロシア、第4位)、ドーリン&マリナ(モルドバ、第5位)、エマニュエル&エリサ(イタリア、第6位)も素晴らしい才能のあるダンサーたち。ますます世界レベルの層が厚くなっていく世界のラテン。彼らもまた新たなラテンの流れを作っていくのでしょう。

ボールルムームでもチャンピオン、アルナス&カチューシャに肉薄するビクター&アナスタシアの対決、そして独特のスタイルでクールさを強調するアンドレア&サラ。ドーメン&サッシャとヴァレリオ&モニカの対決も見応え十分。セミファイナルの激戦をくぐり抜けたアレクサンダー&イリナ(ロシア)もストロングダンサーです。優勝は常勝アルナス組。終始安定したダンスで他を寄せ付けず、見事優勝を飾りました。以下、ビクター組、アンドレア組、ドーメン組、ヴァレリオ組、そしてアレクサンダー組と続きました。

このアジアオープンでは、ファイナル競技がボールルームとラテンの1種目づつの交代で行なわれ、ワルツの後はチャチャチャ、タンゴ、サンバと展開されますから、見る側もその都度興奮の坩堝に。ショーアップもよく考えられ、世界のトップダンサーが織りなすダンスバトルは単に素晴らしいの言葉を超えて、見ていて鳥肌が立つほど特別なもの。最後はスタンディング・オベーション! 日本でこんな大会が開催されたことを本当に誇らしくさえ思います。

近年、世界のトップクラスに水を開けられている日本勢も、地元開催で黙っているわけにはいきません。ボールルームチャンピオン橋本剛組が、そしてラテンチャンピオン金光進陪組が堂々のセミファイナルに駒を進め、日本の存在を示してくれました。今後の世界トップクラスの仲間入りを確実なものにし、さらに牽引役として世界にどんどんチャレンジしていってほしいものです。

併催のアジアクローズの部門でも中国、韓国、台湾の精鋭と日本トップクラスの熱い戦いが繰り広げられ、非常にハイレベルで見ごたえのある一大イベントとなりました。ボールルーム優勝は中国のダニー&アンジェラ、2位は台湾のジム&アニータ、そして3位には日本の森脇健司・的場未恭組が入賞。5位に中川雄太・久美子組、7位に松岡憲昭・有紀組が入るなど多いに健闘。ラテンでは優勝は瀬古薫希・知愛組。3位に芝西将史・岸本麻里亜組、5位鈴木佑哉・原田彩華組、7位に正谷恒樹・齋藤愛組が入るなど素晴らしい結果を残してくれました。

主催がNDCJになったことで選手の出場枠が拡大したのですが、このアジアオープンは文字通りオープンな大会として位置付けられていますから、本来であれば出場選手の制限はないのが当たり前です。今回の大会に関しては、当初は従来通りJDC主催で準備されており、NDCJの組織が機能し始めたことによりNDCJ主催となった経緯があり、武道館で一日での開催という制約がある都合上、今年の選手エントリーの制限はやむなしと判断したようです。来年の同大会はオープンもクローズも出場枠の制限なしで準備万端、日本から、そして世界からもさらなるエントリーを受け入れて開催する運びとなるようです。

NDCJ主催の大会は、このアジアオープン以外にも、3月27日の「統一10ダンス選手権」、9月の「ギャラクシーマスターズ」(主管JCF)、10月16日「統一アマチュア選手権」、11月3日「バルカーカップ統一全日本選手権」、11月27日「統一ショーダンス選手権」があり、団体を超えて多くの選手がエントリーできる大会が予定されています。

その他に、海外からWDC審査員を招聘しての大会は全てNDCJ公認の大会とされ、3月13日「ユニバーサルグランプリ」(主管JCF)、4月3日「アジアパシフィックオープン」(主管JBDC)、10月23日「ジャパンオープン」(主管JDC)などが続々と開催されます。日本の選手にはこれらの情報に敏感になり、クレバーに年間計画をしっかりと立てて、自身のインプルーブに多いに役立ててもらいたいものです。

(詳細はNDCJのサイトを参照。http://www.ndcj.or.jp/

Xで共有する
Facebookで共有する

コメントを残す

*

※必ず全ての項目へ入力の上、「コメントを送信」ボタンを押してください

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

プロフィール

  • 田中 英和

    生年月日:8月9日
    出身:広島県広島市出身
    経歴:1997年2月にアデール・プレストン選手とカップルを組み、5月の全英選手権で日本選手初の第3位表彰台に輝く。「ヒデ&アデール」の愛称で国内外の大会で活躍し、翌98年の全英選手権5位入賞を最後に現役を引退。以降、審査員、コーチャーとして後進の育成にあたっている。また、本誌でも、7年にわたって連載レッスン「ナチュラル・ダンシング」シリーズを執筆し、大好評を博した。
    田中英和ダンスワールド

最近の投稿

アーカイブ

ページトップへ