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田中英和先生のワールドダンス

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あぁ、勘違い 4

ワルツを踊ろうと、ルンバを踊ろうと、タンゴを踊ろうと、ジャイブを踊ろうと、社交ダンスは「カップルとしてのハーモニー」を楽しむものです。そのハーモニーを楽しむためには個々の「身体の自由」が必要であり、特に膝などの「脚部を使う自由」、フットワークや回転動作を生み出す「足元の自由」は、社交ダンスを合理的に踊るために最も基本的で重要な部分と言えます。身体の歪みや、筋力に頼った両足を同時に曲げるような不自然な動き、息もできないような過緊張したホールド、カップルのハーモニーを無視したバランスやタイミング、急発進・急停止では社交ダンスを楽しむどころか、身体を傷つける凶器になりかねません。

社交ダンスは「脚の自由、足の自由」を存分に利用して踊れば良いのです。が、その自由を求めるあまり、勘違いしてついついやってしまうことがあります。それは上体の自由な運動、すなわち「身体の回転動作」であり「ボディの加速」です。

前者はいわゆるローテーションと呼ばれる身体の左右への回転動作で、膝の曲げ伸ばしの運動時に身体を左右に回しながら体幹のストレッチをしていくものです。スポーツダンスにおいてはその身体の使い方の限界に挑戦するものとして存在しますが、社交ダンスでは度が過ぎると危険行為になってしまいます。この運動はあくまで身体の「表面的な筋肉の躍動」で、パートナーのバランスやシェイプに責任を持っての「内面からくる躍動」とは言い難いものです。

回転量の大きなフィガーを踊るときに、この身体の回転動作を使った場合、男性の上半身、特に腕でパートナーを振り回すことになるのです。振り回された側はどう反応するでしょう。それはしがみつくしか他に生き残る道はありません。まさしく恐怖体験であり、我慢の無理強いです。そこでもし「重たい!」などと言われたら、その言葉はトラウマになってしまうでしょう。

まっすぐに立った場合、横から見ると、足の上に腰があり、肋骨があり、肩があり、頭が一番上にあります。そして身体には厚みがありますから、腰の上に肩の後ろ側が来ても、肩の前側が来てもそれは「身体の遊び」の幅であって、この「身体の遊び」と膝の運動でつま先の向きを変えていくときに前進後退の運動をすれば、それがターンの動きになるでしょうし、大きな回転量を持つフィガーでも、カップルが向き合ったまま自然に踊れるようになるのです。

そして2つ目の勘違いである「ボディの加速」は、足の外側にボディ全体を投げ出すように加速させることを言います。これも非常に危険な行為です。まず立っている足の上で重心移動をするのですが、これは自身の体重のない方の膝が体重のある方の膝を追い越すためにする動作であり、この重心移動は自身の靴のサイズを超えるものではありません。膝が前方に緩むためには重心はむしろ下方向や後ろ方向に移動するもので、しかも身体の中に感じるだけで、そんな大げさな移動でもありません。その動作をきっかけに膝が膝を追い越す動作に転じたら、前進の動作は膝下にあるフリックという前方に振り出すスウィングの動作で、実際に移動することができるようになります。よく「身体を投げ出して〜」というアドバイスを耳にしますが、それを身体の重さを足のサイズを超えて加速させようとするなら、それこそ勘違いと言わざるを得ません。

 

身体の「中心部」と「末端」で見えているスピード感の違い

カップルが生き生きと踊っているのを見ますと、相当なスピードで踊っているように見えます。が、それは身体の中心から離れた肘や手などの末端に見えているスピードであって、身体の中心線に近い部分が加速しているのではないのです。身体の中心線あたりのスピードは、重心移動に則ったフリックによる前進から横への単純な変化であり、そこに存在するスピードは想像するほど速くはありません。だからこそ、優しくゆったりとしたホールドでパートナーとのバランスが保たれれば、社交ダンスは誰でも安心と安全の中でその「スピード感」と優雅さを楽しめるのです。

見た目のスピードを出そうと、肘をきつく張った状態で身体を回転させて回転量のあるフィガーを踊ることは、パートナーを振り回すだけの危険行為。安心安全を確保しつつ、ロアの深さや足にあるスウィングの質、末端にあるスピード感、空間の広がりやボリューム、体幹の強靭さ、しなやかさなどからカップルの入れ替わりの妙技など、さらにパワーアップした特別なスタイルを求めることがインプルーブの理想の方向性です。その良し悪しを競うことが「競技ダンスの真髄」だと私は思います。

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プロフィール

  • 田中 英和

    生年月日:8月9日
    出身:広島県広島市出身
    経歴:1997年2月にアデール・プレストン選手とカップルを組み、5月の全英選手権で日本選手初の第3位表彰台に輝く。「ヒデ&アデール」の愛称で国内外の大会で活躍し、翌98年の全英選手権5位入賞を最後に現役を引退。以降、審査員、コーチャーとして後進の育成にあたっている。また、本誌でも、7年にわたって連載レッスン「ナチュラル・ダンシング」シリーズを執筆し、大好評を博した。
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