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田中英和先生のワールドダンス

コラム&本誌企画

謹賀新年

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2019年の幕開けです。皆さんはどうのように新年を迎えられましたでしょうか。抱負を胸に抱き、気持ちも新たにこの年の船出を祝われたことでしょう。

さて、今年は天皇陛下が生前退位されることにより、5月1日より新元号での新時代が始まります。それに先立ち、4月1日にはその新元号が発表され、いよいよ新時代へのカウントダウンが国民の期待をさらに高めていくことは間違いありません。

ダンス界もまた新たな動きを見せ始める年になるような予感がします。具体的にどのように変わるのかが目に見えてくるにはまだもう少し時間が必要でしょうが、これまでの長きにわたる組織の分裂状態の改善も含め、いろいろな面で良い方向に向かっていると感じます。

その期待が高まる一方で、「統一全日本ダンス選手権」のメインスポンサーであった㈱バルカーが、契約の満了により、残念ながら今年はそのスポンサーシップがなくなることになりました。選手にはモチベーションという意味で意気消沈は否めず、明らかに「大会縮小」であり、「逆境」ともいう状況かもしれません。しかし、期待が膨らむ時期でのこの事態は、「皆で一つになって再度歩み始める良いきっかけ」なのです。「逆境は人を強くする」と言われるほどです。それこそ「心機一転」、私たちのダンス、私たちのダンス界を見直す良い機会にしなければならないと私は考えます。

これまで日本のダンス界は、「競技ダンスの普及」によって世の中にダンスがより認知されてきた歴史があります。各地域でクラス制があり、その地域のナンバー1を決めるオープン戦が開催され、そしてその先に日本のチャンピオンを決める一つの全国大会に繋がっていくという道筋がありました。その道はさらに世界へ、全英選手権や世界選手権へと繋がっていたのです。

「地域のクラス制は世界へ通ずる」という事実とその認識が「将来への夢」となり、その夢に向かって行くものがメダルテストや様々なダンスイベントに参加することに繋がり、ダンス界を盛り上げて行く環境が出来上がっていったのは紛れもない事実です。

しかし、時代の流れとともに主義主張の違いや法律改正などの影響もあって、ダンス界は複数の組織に分裂してしまいました。今ではそれぞれの団体がそれぞれの日本チャンピオンを決める全国大会を開催するに至っているのです。

各団体がしのぎを削ってお互いにレベルアップしていれば、それはそれで共存共栄のダンス界を構築できたのかもしれませんが、実際のところはそうではない方向に進み、ついには分裂して各団体の力が弱まり、現役選手が世界の舞台で活躍できない環境に陥ってしまったのです。

最近ようやくプロの3団体はWDC(世界ダンス議会)傘下のNDCJ(ナショナル・ダンス・カウンシル・フォー・ジャパン)という組織に集まり、毎年11月3日に「統一全日本戦」を、そして「統一10ダンス」「統一ショーダンス」などの大会を主催。各団体が主催する国際大会もNDCJ公認で開催するようになり、共同歩行する流れを作ってきています。今回、大きなスポンサーを失ったことで統一全日本戦の先行きが不透明になったことは否めませんが、ダンス業界が活性化していくためにもここで一致団結して奮起しなければなりません。

日本国内でのダンスの隆盛を復活させるために

また一方で、国内ではダンスが国民体育祭(国体)に参加すべく日本スポーツ協会(旧日本体育協会)に加盟する動きも本格化するとの話を聞いています。そうなれば、日本におけるダンスのビッグイベントも、NHKがテレビ放映を再開する可能性が生まれてきます。NHKでは1980年に「第1回日本インターナショナルダンス選手権大会」が開催されたその年から放映を始めたのですが、その年は、私にとっても大切な節目の年。大学に入学し、ダンスを始めたまさにその年なのです。そして、そんな私が第14回大会(1993年)のチャンピオンになり、オナーダンスで番組の最後を締め括ったことは、本当に誇らしい瞬間でした。

それ以外にも私は、NHK趣味百科「Let’s Dance」の講師を務めたことがあります。この番組の歴代講師は、初代が篠田学・雅子先生で、それ以降、毛塚道雄・雅子先生、奥村三郎・純先生、大竹辰郎先生、John & Anne Wood先生などが務められ、私もその一人としてダンスブームの後押しに貢献できたことは、今も記憶に新しいことです。

やはり日本では、NHKで取り上げられるかどうかが非常に大事なことだと私は考えます。世界のダンス界の軋轢に振り回されることなく、日本国内でのダンスの隆盛を復活させるためにも、皆でダンスの素晴らしさを共有し、もっとその素晴らしさを発信できる環境を作っていきたいものです。そんな2019年、そんな新元号での新しい年にしたいものです!

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プロフィール

  • 田中 英和

    生年月日:8月9日
    出身:広島県広島市出身
    経歴:1997年2月にアデール・プレストン選手とカップルを組み、5月の全英選手権で日本選手初の第3位表彰台に輝く。「ヒデ&アデール」の愛称で国内外の大会で活躍し、翌98年の全英選手権5位入賞を最後に現役を引退。以降、審査員、コーチャーとして後進の育成にあたっている。また、本誌でも、7年にわたって連載レッスン「ナチュラル・ダンシング」シリーズを執筆し、大好評を博した。
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