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田中英和先生のワールドダンス

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新しい年を迎えるにあたり

ダンスのスタイルは、踊れる人間の数だけあると言っても過言ではありません。チャンピオンダンサーにしても背の高い人、低い人、細い人、ボリュームのある人、ホールドがきっちりした人、ゆったりめの人など実に様々です。ただ、ボールルームダンスは二人で踊るダンスである以上、そこにはリード&フォローというルール(人間関係)が存在し、リードする者はパートナーのスタイルとバランスに責任を持たなければなりません。チャンピオンダンサーのスタイルもその数だけ存在し、パワーやスピード、音楽性や存在感など、他を圧倒する個性はそれぞれに違いがあっても、栄光の座に駆け上がれた背景には「共通の秘密」があるのです。それは「女性のバランスとシェイプに完全なる責任を持っている」ことです。

特にハイヒールを履いて踊る女性をパートナーにするリーダーは、パートナーの能力を最大限に引き出すために、女性の踊れるバランスを感じ、それにリードを加える能力が不可欠です。では、踊れる女性のバランスは一体どこにあるのでしょう。リーダーである者はパートナーのバランスのポイントを知っておく必要があるのです。

パートナーのバランスは自身の足の上にあるのは当然のことですが、ホールドという踊れる姿勢における女性のバランスは、両腕を横に開いた「両肘」にあるのです。それは身体の中心である背骨から同じ距離にあり、アンダーバストの高さにあると考えるべきです。

リーダーはこの女性両肘のバランスに最大限の注意を払い、繊細にも大胆なインナーマッスルから生じるエネルギーでリードという変化を始めるのです。両肘のバランスが確保されたら、女性の男性に対するフォローのコツは自身の「右サイドが左サイドより長く、右ヒップが左ヒップよりやや高い」姿勢を目安に、男性右アーム、男性右ヒップの高さの変化、そして男性のアッパースパイン(胸椎)の運動にフォローすることになります。男性は右足を軸足にして、そのフットプレッシャーによりボディの右回りのスパイラルのエネルギーをボディに取り込み、踊れる姿勢の女性のバランスをさらに安全にサポートするべきなのです。

ホールドには5つのコンタクトがあり、女性は男性のサポートによって自身の体重が軽く感じられるようになれば、両肘にバランスがあり、持ち前のフットプレッシャーはさらに生き生き踊れるスタイルになるのです。男性も、女性を重く感じることがなくなる「好循環」が始まるでしょう。

 

ダンス人口の減少を食い止めるには

こんな素晴らしい人間関係を構築できる夢のあるボールルームダンスなのですが、昨今のダンス人口の減少傾向はどうしたことなのでしょう。昭和から平成に向かうころ、競技ダンスの普及が成功し、社会の中に広く認知され、平成に入る頃には風営法のもとで踊られていた昔の社交ダンスが健全なダンスへとイメージを大きく変えたのはとても喜ばしいことでした。しかし、同時に、風営法から外れていく過程の中で大衆化が進み、メダルテストなどの教育的な側面がないがしろにされ、技術レベルの低下、マナーの低下が危ぶまれるようになってきたのと同時に、ダンス人口の減少も年々加速してきたのです。

もちろん少子化の影響もあります。ダンス愛好家の高齢化もそうでしょう。しかし、それだけが理由ではないと思います。昨今、危機を感じる方々がいろいろな方面で対策を打ち出そうとしています。広くに「ダンスの良さを知らしめていく」ことは不断の努力として進めていかねばならないものですが、同時に、「日本のダンスの文化的レベルを上げていく」努力も必要だと感じます。

ダンスにはいろいろなジャンルがあります。バレエもあればジャズやタップ、ストリート系のダンス、ヒップホップもあります。どのジャンルが優秀かどうかということではなく、私たちのボールルームダンス、社交ダンスも夢のある心を豊かにする素晴らしいダンスの一つであるということです。ダンスを踊っている、楽しんでいるカップルを見て、「あんないい感じのダンスならやってみたい〜」と思えるのなら、社交ダンスという古臭い言い方であろうと、それがダンススポーツであろうと、一般に受け入れてもらえるのではないでしょうか。

ボールルームダンスのホールドという形は意味のある5つのコンタクトの集合体であり、男性はより男性らしくスマートで、女性は女性らしくエレガントであるためのスタイルであり、肩肘を張ったまま身体をくっつけあって動き回る滑稽な我慢比べではないのです。ダンスはマナーであり、ハーモニーであり、二人だからできることへのアプローチであり、入れ替わりの妙技であり、音楽との一体感であり、理想的な人間関係の良いモデルでもあります。個々のバランスとシェイプは個々の自由と可能性へのアプローチであり、男性はそのシェイプとバランスに責任を持ち、女性はそれを承って美しく舞うのです。この基本から外れることなく、スポーティにアーティスティックに競技会が開催され、美しく着飾って参加できるエレガントな舞踏会が数多く開催されていく環境に舵取りをしていこうではありませんか。

皆さん、今年もご愛読ありがとうございました。来年は新元号となりますが、2019年が素晴らしい一年になることをお祈りいたします。

 

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プロフィール

  • 田中 英和

    生年月日:8月9日
    出身:広島県広島市出身
    経歴:1997年2月にアデール・プレストン選手とカップルを組み、5月の全英選手権で日本選手初の第3位表彰台に輝く。「ヒデ&アデール」の愛称で国内外の大会で活躍し、翌98年の全英選手権5位入賞を最後に現役を引退。以降、審査員、コーチャーとして後進の育成にあたっている。また、本誌でも、7年にわたって連載レッスン「ナチュラル・ダンシング」シリーズを執筆し、大好評を博した。
    田中英和ダンスワールド

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