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田中英和先生のワールドダンス

コラム&本誌企画

☆世界は今……

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さあ、令和2年の始まりです。オリンピックイヤーでしかも日本での開催です。否応なしに気分は高まっていきますね。そんな年の始まりを皆さんはどのように、そしてどのような抱負を持って迎えられたでしょう。

ダンスの世界は主義主張の違いから複数の方向性に分かれ、今現在、国内でもプロの組織はWDCサイドのJBDF、JDC、JCFの3つとWDSFサイドのJDSF/PDと大きく4つのグループに分かれてしまっています。かつての日本の唯一の組織だった日本競技ダンス連盟(日競連)が大きく成長し始めた時、風俗営業からの脱却、組織の法人化の流れの中で分裂が始まってしまったのですが、その時から何年の歳月が流れてきたことか。

そんな分裂の状態を、「一つにまとめてやるぞ」なんて大それたことを今年の抱負として掲げているのではありません。もちろん「その方向性が良い」と考えている一人ですし、微力でもその流れを作っていこうとしているのは確かですが、嬉しいことに、最近の組織間の交流機会は徐々にではありますが増えてきており、一つの方向に向いて何かが動いているのを感じるのは私だけではないと思います。その動きは、誰もが同じような気持ちを持っていることの表れなのではないでしょうか。

かつて日本が世界のダンス界のトップ3(英国、日本、ドイツ)の一つとして君臨していた時の「強い日本」とは状況が著しく違うのが現状ですが、時間を経て最悪の時代を抜け出し、プロ3団体の協議機関NDCJの存在により、ようやく仕切り直しの土俵にたどり着いた感があります。しかし、まだ本当にまとまった組織として世界にアピールできる力はなく、JBDFが「日本インター」を、JDCが「アジアオープン」、JCFが「ギャラクシーマスターズ」をというように、いまだに各団体がそれぞれ国際大会を開催することで世界に繋がっているのが現状です。

ただ、そうこうしているうちに、世界のほうが新たな動きを見せ始めています。その一つがここ数年で規模が拡大してきている「Freedom to Dance (FTD) 」です。このFTDは組織というより「主義主張」「理念」であり、その考えに賛同する者がその「理念」に基づいて世界各地で競技会を開催しているのです。WDCの公認競技会や世界のランキングに関わる競技会とは次元が違うもので、 Freedom の文字通り「踊る自由」を最大に謳った競技会。出場したい人は誰でも出られるという、組織や規則に縛られない大会として開催されています。

選手がもっとイキイキと踊れるFreedom to Danceの理念に基づいた競技会

そしてこのFTDの理念に沿った延長にWDO(World Dance Organizers)という新組織の存在があります。社会的目的を持つ企業として設立されており、現段階では世界のどのアマチュア競技ダンサーでも自由に参加できる世界大会を主催する組織です。WDCの傘下にあるWDC/AL(Amateur League)が開催している世界大会とは別の世界大会との位置づけになります。“Freedom to Dance”を冠に掲げ、その大会のセクションのメインイベントの一つとしてWDOの「アマチュア世界選手権」を開催している例が見られるようになってきました。

これらの大会へは選手はどの組織に属していても出場の自由があり、またこの大会に審査員として選任されることは非常に光栄なことでもあるのです。が、世界の既存の組織はこのWDOの世界選手権を公認していないことから、既存の組織に属する審査資格を持ったライセンスホルダーに微妙な影響を与えているのです。

WDCに加盟している団体の審査員資格者が、WDCが認めない大会に審査員で参加することは何らかの規定違反の疑いが生じてしまう恐れがあるのです。これは日本でも同じことが言えます。しかし、皆はそのしがらみで不自由な思いをするより、より自由で公平なオープン競技会の開催を望んでいるのです。そして今、その声が大きくなってきている、それが世界の流れとして表れているのではないでしょうか。世界の上部組織はもっとフレキシブルにものを考えて、ダンス界全体の更なる発展につながるものとしてそれらを公認し、大きな括りで一つの方向性に皆を導いてくれることを期待したいものです。

日本はこの世界の急展開の流れになかなか追いついていけない状況ではありますが、逆に国内でのプロ組織の一本化に向けた活動を本格化させる良いチャンスの年になるのかもしれません。選手の皆がもっと生き生きと踊れる環境作りが大事なのです。それが近い将来のさらなる発展に寄与するのは明らかでしょう。

さあ、オリンピックイヤーの2020年。令和2年目の年が皆様にとりまして生き生きと暮らせる素晴らしい1年になることを祈りつつ、私も健康に留意しながら頑張っていこうと思います。今年1年、ご愛読のほどよろしくお願い申し上げます。

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プロフィール

  • 田中 英和

    生年月日:8月9日
    出身:広島県広島市出身
    経歴:1997年2月にアデール・プレストン選手とカップルを組み、5月の全英選手権で日本選手初の第3位表彰台に輝く。「ヒデ&アデール」の愛称で国内外の大会で活躍し、翌98年の全英選手権5位入賞を最後に現役を引退。以降、審査員、コーチャーとして後進の育成にあたっている。また、本誌でも、7年にわたって連載レッスン「ナチュラル・ダンシング」シリーズを執筆し、大好評を博した。
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