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田中英和先生のワールドダンス

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★「女性ダンサーへ その3《リアクションとハイヒールの関係》」

スタンダードの場合、女性と男性は右半分ほどずれて立っていますから、女性の身体の中心線は男性の右スラックスの折り目と向き合う位置にあります。その女性の中心線上のおへその下あたりにある「丹田」と呼ばれる部分が、男性のフットプレッシャーによって右腰(ヒップ)の高さが変化するのを感知するエリアであり、それが女性のダンスが起動する部分、「センター」となります。
 男性のダンスの起点である右足の上には、そのフットプレッシャーにより、自然と右腰が何センチか上がっていきます。その変化は「右回りの上方へのスパイラルなエネルギー」となり、ボディのトーンが増え、両アームには外旋のエネルギーによる肘のサポートが強くなり、横少し前へと強く張り出していきます。
 女性ダンサーとしてのリアクションは、「センター」が男性の右ヒップの高さの変化を感知することにより男性の右アーム方向へ進展、そして左後ろ上方へのストレッチの動作に展開していくのです。これは女性ダンサーが男性の動きにフォローすべき3点、すなわち右手、ヒップの高さの変化、アッパースパインの変化に即しています。この一連の変化が女性ダンサーの「奥行きのある立体」に展開するチャンスとなり、カップルとしての安心安全で美しくもしっかりとしたバランスを生み出していくのです。
 これは相手の動きに合わせるような消極的なものではなく、カップルとしての「奥行きのある立体」への展開と、体幹の強さが増していくことを楽しんで欲しいのです。その結果出来上がるカップルの立体は、非常に魅力あるものになることは間違いありません。
 さらにもう少し踏み込んで考えてみましょう。女性は男性の右アームにシェイプを展開することで男性の右手にフォローできるようになるのですが、男性の右ヒップの上昇と右アームの外旋は、同時に、女性の左ショルダー周りに奥行きを生み出し、左後ろ方向へのストレッチのような動作が始まります。その動作は、「センター」というセンサーが、右サイドや右ヒップあたりに3次元的に展開する可能性を感じることでしょう。こうした展開によって、生き生きと踊るための足や膝が使える準備が完了します。女性ダンサーは、男性からのメッセージをキャッチする「センター」の位置を絶対に失ってはいけないのです。
そのために重要となってくるのが、「上手にヒールを履きこなすこと」だと私は考えます。そもそも私がハイヒールについて女性に申し上げるのもおこがましいのですが、今一度、ヒールを履いたときに生じる身体の変化について、確認していただきたいと思います。
 ヒールの高さは背を高く見せる効果だけでなく、身体の変化を上手に生み出すきっかけを作ることにも役立っています。ヒールが高い分、足首への負担は相当なものになりますが、それが強さとなり、男性の右ヒップの高さを察知する「センター」の位置も上に引き上がり、より敏感になっていきます。と同時に、男性の右アームにフォローしやすくなり、膝の緩みや右ヒップがやや高くなるという骨盤のアングルを生み、ショルダーのリラクゼーションは肩甲骨の位置をも変え、背骨の緩やかな美しいカーブを生み出し、女性ダンサーのシェイプをより強調することに貢献するのです。
 加えて、例えばライズからロアをしていく時など、ヒールがフロアにタッチするタイミングは、低いヒールの時より早くなります。それによってエネルギーがより早く「底」に到達することになりますから、肘の高さを水平に保ったまま、アンダーバストあたりの脇の下あたりから変化が始まることになります。
 スタンダードでは、男性のヒールは大体2cmくらいですから、男性の変化はハイヒールを履いている女性に比べて低いところ、すなわち右ヒップの高さの変化となるのです。男性のリードのきっかけであるヒップの高さの変化と、それをセンターで察知して女性のショルダーが変化していくというこの図式が、カップルのエネルギーの循環となります。そして最終的には、ロアや送り出していくドライブの動作などの膝や足首などベースアクションの深さ、力強さ、ボディシェイプ、スムースな脚の開き、スウィングという加速などにも通じていくのです。
 力強い男性のベースアクションと、上体の美しく締まったホールドは、女性のセンターからのエネルギーを生み出し、さらに華やかでしなやかな、躍動感に溢れた女性ダンサーへと導くのです。

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プロフィール

  • 田中 英和

    生年月日:8月9日
    出身:広島県広島市出身
    経歴:1997年2月にアデール・プレストン選手とカップルを組み、5月の全英選手権で日本選手初の第3位表彰台に輝く。「ヒデ&アデール」の愛称で国内外の大会で活躍し、翌98年の全英選手権5位入賞を最後に現役を引退。以降、審査員、コーチャーとして後進の育成にあたっている。また、本誌でも、7年にわたって連載レッスン「ナチュラル・ダンシング」シリーズを執筆し、大好評を博した。
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